梅干しの保存、実は奥が深い?プロが教える「一生モノ」にするための梅干し保存術【老舗梅干し屋執筆&監修】
その昔「梅干しは腐らない」なんて言われていましたが、それは塩分がたっぷり入っていた時代の話。最近主流の減塩タイプやはちみつ梅は、実はとってもデリケートな梅干しなんです。梅干し好きのあなたも私も「せっかくのおいしい梅干し、最後まで最高の状態で食べた〜い!」ですよね。
今回は、梅干しのポテンシャルを維持するための正しい保存容器の選び方から、種類別の保存テクニックまで、徹底解説していきます。
なんとなくそうしていた(腐らせずにやってこれた)という人も、梅干しが腐る原因を知り、腐敗防止策を学んでいれば、梅干しの種類や台所事情が変わってもバッチリ対応できますよ。1年を通して楽しめる梅干し。最後の1粒まで、おいしく味わっていきましょう!
Contents
梅干しの保存に適した保存容器はどれだ?容器ごとのメリット・デメリット
ご存知通り、梅干しは「酸」と「塩分」の塊です。この2つのパワーは強力で、容器の素材によっては溶かしてしまったり、成分が染み出したりすることも。まずは、失敗しないための容器選びから見ていきましょう。
陶器:温度変化に強い、伝統の守り神
昔ながらの梅干し作りに欠かせないのが陶器でしょう!?
- メリット:厚みがあるため外気の影響を受けにくく、中の温度を一定に保ってくれます。遮光性もバッチリなので、梅干しの劣化を防ぐには理想的な環境です。
- デメリット:表面に貫入(かんにゅう)と呼ばれる細かいヒビがある場合、そこに梅の香りが染み付いてしまうことも。
でも、それすらも「この容器は一生、梅干し専用」と決めて使うのが粋な楽しみ方とも言えますね。
甕(かめ):熟成を楽しむならこれ一択!
本格的な“数年モノ”を育てたいなら、やっぱり甕が一番。
- メリット:断熱性が非常に高く、常温でも梅干しがじっくり美味しく熟成します。酸や塩分にも最強に強く、安定感は抜群。
- デメリット:とにかく重い(笑)。一度場所を決めると移動が大変なのと、中が見えないので「いつの間にかカビが…!」なんてことにならないよう、ときどき蓋を開けて様子を見てあげてくださいね。
ガラス瓶:安心・安全・おしゃれの三拍子
キッチンに並んでいるだけで可愛いガラス瓶。実は実用性もトップクラスで重宝しちゃう?
- メリット:なんといっても「中が見える」こと!カビの兆候や残量を一目でチェックできるのは最大の安心ポイントです。耐酸性が高く、匂い移りもしないので、空いた後に別の食品に使い回せるのもうれしいですね。
- デメリット:光を通してしまうので、直射日光は天敵。キッチンの出しっぱなしはNGです。シンクの下や棚の中など、暗い場所に置いてあげましょう。
琺瑯(ホーロー):冷蔵庫保存の救世主
鉄にガラス質を焼き付けた琺瑯は、機能美の塊。
- メリット:酸に強く、匂いも付きにくい。さらに光を通さないので、保存性は完璧です。案外さまざまなデザイン・サイズのものが販売されているので、冷蔵庫の隅にピタッと収まる子が見つかれば超気持ちイイ。
- デメリット:表面のガラス質が欠けると、そこから中の鉄が錆びてしまいます。金属のヘラなどでガリガリ擦るのは避けて、優しく扱ってあげてください。
プラスチック:手軽さはNo.1、でも寿命に注意
市販品で最も一般的なのがこれ。値段も手頃で100均でも手に入ります。
- メリット:軽くて少々手荒く扱っても割れないし、どこでも安く手に入ります。「とりあえず移し替えたい」という時にはめちゃくちゃ便利。
- デメリット:長期間使っていると、酸でプラスチックが劣化してベタついたり、梅の匂いが取れなくなったりします。長く愛用するというよりは、使い捨て感覚に近いかもしれません。
ジップロック®:実は「梅を漬ける」時にも便利
最近の「梅仕事」でトレンドなのがフリーザーバッグ。
- メリット:空気を抜きやすく、少量の梅酢でも全体をしっかり浸すことができます。冷蔵庫のドアポケットに収納できる省スペースぶりも魅力。
- デメリット:尖った種などで穴が開くリスクがあります。また、長期保存だと袋自体の劣化や液漏れが心配なので、基本的には漬ける工程や、数ヶ月で食べ切る分量に使うのがベストです。
アルミ容器はどうなの?—その他、梅干し保存の豆知識
金属・アルミはNG?:梅の酸は金属を溶かすというのは定説ですし、容器の蓋まで気をつけなければなりません。しかし、かつてのアルミ製品は腐食の恐れがありましたが、現在は技術向上により、梅干しなどの酸を含む食材を入れても問題ないと言われています。
たとえば、現代のアルマイト加工されたアルミ弁当箱であれば、梅干しを入れても問題なく使用できます。ただし、長期間、あるいは大量の酸性食材を放置すると、微量のアルミニウムが溶け出す可能性があるので要注意です(健康への影響はないとされています)。
サイズ選びの黄金比:容器の大きさは、梅干しの重さの1.5〜1.8倍が理想。隙間が空きすぎると酸化しやすく、ギリギリすぎると梅酢が溢れ出てしまうことも。
消毒と乾燥は徹底的に:特に自家製の梅干しは作る段階での水分・雑菌をいかに排除できるかが勝負です!たとえば容器に水分が1滴残っているだけで、そこからカビの軍団が押し寄せてきます。そうならないためにも、煮沸消毒した道具や容器はしっかり乾燥させ、腐敗を未然に防ぎましょう。
梅干しの種類別の正しい保存方法
さて、容器が決まったら次は「どこに置くか?」です。実は、すべての梅干しを常温で置いていいわけではありません。
塩分濃度が低い場合(10%未満)
最近主流の「減塩タイプ」。塩分が少ないということは、それだけ菌が活動しやすいということ。何個でも食べれちゃう〜♪のが魅力だけど、ちょっと注意が必要です。
【保存方法:迷わず冷蔵庫へ!】
常温で出しっぱなしにしていると、気づかぬ間に発酵して袋がパンパンになったり、異臭が出たりカビたりします。“食べる分だけ小出しにする”のが長持ちの秘訣です。
塩分濃度が高い場合(18〜20%以上)
おばあちゃんが漬けていたような、目が覚めるほど酸っぱい梅干し。
【保存方法:「常温」でOK】
塩の結晶が浮いてくることがありますが、それは“おいしく熟成している証拠”なのでご安心を。冷暗所に置いておけば、10年、20年と楽しめます。※絶対に腐らないというわけではないので、ときどき健康観察してあげましょうね。
調味梅干しの場合(はちみつ梅、かつお梅など)
だしや甘みを加えた、ご飯がすすむ調味梅干し。
【保存方法: 必ず「冷蔵庫」へ】
はちみつやかつお節などの成分は、菌にとっての大好物。特に塩分が低い調味梅干しは足が早いので、賞味期限内にパクパク食べ切るのが一番&最高の贅沢です。
こんな梅干しは食べないで!食べられなくなった梅干しの特徴
あなたも「この梅干し、まだいけるかな…?」と不安になったことはありませんか。気づかず食べてしまってもごく僅かなら問題ない場合もありますが、梅干しからのSOSサインを見逃さないようにしてください。
カビが生えている
白いフワフワや黒や緑のポツポツ…。これらはカビです。白くて硬い「塩の結晶」とは質感が違います。「表面だけ取り除けば大丈夫だよね?」と思いきや、カビの根っこは奥まで入り込んでいることもあるので健康のために、潔くお別れしましょう。
水っぽくどろどろする
箸で持つと崩れるほど水っぽくなっている梅干しは、熟成による柔らかさではないかもしれません。たとえば、形を保てないほどドロドロに溶けている場合は、腐敗が進んでいます。ほかにも糸を引くような粘り気が出てきたら、それは完全にアウトなサイン。
異臭がする
「アンモニア臭やアルコール臭がするような?」と思ったら要注意。梅干しの爽やかな香りが消え、ツーンとした鼻を突く匂いや、お酒のような発酵臭がしたら食べられません。「発酵してるだけだから大丈夫だよね。むしろ、体に良さそう?」なんて大間違い。有害な菌が増えている証拠なので、絶対に口にしないでください。※ちなみに梅干しは発酵食品ではありません。
梅干しを正しく保存して長く楽しもう(まとめ)
日本のソウルフード、梅干し!正しい容器を選び、その子の「塩分濃度」に合わせた居場所を作ってあげるだけで、おいしさは驚くほど長持ちします。
保存のコツをマスターしたら、次に挑戦したくなるのが「自分好みの梅干し作り」ではないでしょうか。「手作りはハードルが高いかも…」と感じている方はこちらの記事を参考に梅仕事に挑戦してみてください。
基本の梅干しの作り方をご紹介!失敗を防ぐポイントや梅干しを使った人気レシピも!
“世界にひとつだけの、わたし仕込みの梅干し”があれば毎日の食卓が楽しくなりますよ。
紀州南高梅の購入はこちらから。




